「月明りにて」茶会の様子

雨が降ったり止んだりのあいにくのお天気でしたが大勢のお客様にお越しいただきました。玄関には野山の草花、原種の柿などが生けてありました。待合では山頭火の俳句「月夜あるだけの米をとぐ」が掛けられ、畳の上には虫かごが・・・外にバッタが飛び出しています。物語の予兆を感じる待合でした。いざ本席へ

本席床には「清風払名月」が掛けられ、香合には鈴虫が。お花は蝦夷きすげ、花入れは竹ですがすーっと根っこから伸びやかな形でした。ご亭主のお話では鈴虫は待合の虫かごから飛び出し本席の香合に止ったとか。お菓子は飛島製のこぼれ萩でした。

お茶碗は楽家九代了入の作で、小ぶりですが手の中に入るとしっくりとおさまり、江戸期の名工のお茶碗をふれさせていただき幸せでした。薄器は黒柿の四方、月と太陽が前後に抜いてあり大変珍しい形でした。お茶杓は色々あった予想もしないトラブルを包み隠さずお話になりご亭主の飾らない人柄を垣間見ました。ゆったりと落ち着いた良いお席でした。